慶應大’23 環境情報学部 情報の解説

こんにちは。パソコン部有志により、本日行われた慶応大学 環境情報学部 数学または情報の情報部分の解説を作成したので、掲載します。

この解説は複数名で作成し、確認を経て投稿されたものですが、誤りがある可能性もあります。予めご了承下さい。

略解

[1]58027155
[2]010164479352004840508079321
[3]-1000303-103-103
[4]151623242930
[5]472552541

情報I:知的財産権

(ア) [1]~[5]

素材文:www3.nhk.or.jp/news/html/20220624/k10013686711000.html

[1] 易 5

選択肢のうち、保護されるべきものは「信仰」「著作権」「プライバシー」しかない。あとは文脈判断。

[2] 並 8

最初の空欄からは判断しにくい(基盤・検索が入りうる)が、「膨大な情報から必要なものを入手することを支援する」とあるから検索と判断できる。なお基盤を入れると[4]に入るものがなくなるので、これでも判断できる。

なお、「検索事業者が,(中略)URL等情報を検索結果の一部として提供する行為が違法となるか否かは,当該事実の性質及び内容(中略)など(中略)と(中略)情報を検索結果として提供する理由に関する諸事情を比較衡量して判断すべき」とした最高裁の仮処分決定は有名である。

[3] 易 0

「消し去ることが困難になる」から拡散と判断できる。また、デジタルタトゥーとは、インターネット上の情報が一度拡散されてしまうと完全に削除ができないことを言う。

[4] やや易 2

「情報流通の[ 4 ]」に入りうるのは基盤しかない。比喩的に「辞書」が入る気もするが、これだと直後の「[ 5 ]行為の制約」につながる根拠にならない。

[5] 易 7

「[ 5 ]の自由」につながるものは、「信仰」「表現」しかない。しかし、ここまでの文章で信仰に関係する話題は一切出てきていないうえに、信仰の自由をプライバシーの保護と比較するとは考えにくいため「信仰」が入ることはないと判断でき、「表現」が入る。

(イ) [6]

[6] やや難 1

(1)正しい。法令の条文そのまま抜いてきた感じがしてすごく読みにくいが、たしかに商標法に規定がある。商標法第6条。

第六条 商標登録出願は、商標の使用をする一又は二以上の商品又は役務を指定して、商標ごとにしなければならない。

メタ読みをすると、この選択肢は書き換えて誤答にできそうな部分がないので、多分正解だろうという予測を立てることもできる。

(2)誤り。これは特許の説明である。意匠とは、新規性、創作性などの一定の登録要件を具備している場合に特許庁が登録することにより発生する独占排他権である。

(3)誤り。意匠登録出願を扱うのは特許庁だから、文化庁ではおかしい。意匠法第16条。

第十六条 特許庁長官は、審査官に意匠登録出願を審査させなければならない。

(4)誤り。不正競争防止法により禁止されている。

第二条 この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。

四 窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段により営業秘密を取得する行為(以下「営業秘密不正取得行為」という。)又は営業秘密不正取得行為により取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為

(5)誤り。容易に考案することができる発明は特許を受けることができないが、商標は特にそういう制限がない。

(ウ) [7]

[7] 難 5

(1)誤り。著作権法第12条の2。

二 データベースでその情報の選択又は体系的な構成によつて創作性を有するものは、著作物として保護する。

(2)誤り。講演は、著作権法第10条第1項で、著作物として定められている。

第十条 この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。

一 小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物

(3)誤り。「印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法により、有形的に再製すること」は複写である。著作権法第2条1項15に定められている。

十五 複製 印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法により有形的に再製することをいい、次に掲げるものについては、それぞれ次に掲げる行為を含むものとする。

イ 脚本その他これに類する演劇用の著作物 当該著作物の上演、放送又は有線放送を録音し、又は録画すること。

ロ 建築の著作物 建築に関する図面に従つて建築物を完成すること。

(4)誤り。著作権法第2条、第5項

5 この法律にいう「公衆」には、特定かつ多数の者を含むものとする。

(5)正しい。著作権法23条

第二十三条 著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する。

2 著作者は、公衆送信されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利を専有する。

著作隣接権の話を思い出して迷った人も多いかもしれないが、どのような権利であっても「一旦専有してから許可する」流れを把握すると良いだろう。

(エ) [8]

[8] 並 5

正解の選択肢以外がだいぶ悩ましいが、(5)が明らかに正しいので選べる。

(1)誤り。条文をしらなくても常識的に判断することができる。

(2)誤り。要配慮個人情報以外は同意なく収集することができる。名簿業者が存在することを考えれば、これが誤りであると判断することができるだろう。

(3)誤り。個人情報保護法はすべての事業者に適用される。コンピュータの利用の有無が関係あるはずがないというのは常識的に判断することができるだろう。

(4)誤り。「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、「当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの」又は「個人識別符号が含まれるもの」をいうとされている。顔の映像のみであれば個人情報とはいえず、誤りである。

(5)正しい。法人は保護対象ではない。

情報II:シャノン符号化

[9]~[14]

[9]~[11] 易 010

0.25(10)=0.01(2)

[12]~[13] 易 16

4種類の記号を2個使うと、4×4=16 種類の記号列を表すことができる。

[14] 易 4

小数点以下4桁あれば0.0625刻みの数をそれぞれ表せるから、4桁である。

[15]~[30]

[15]~[17] 易 4,7,9

問題文を読めば4/7/9が入ることは容易にわかるだろう。

[18] 易 3

出現頻度に比例した長さの区間を割り当て、全体の長さが1なのだから0.3である。

[19]~[22] やや易 5200

問題文のとおりに割り当てるだけである。Bが[0.4,0.7)だから、BAが[0.40,0.52)である。

[23]~[30] やや易 4840,5080

BAの区間の幅が0.12であるから、BAAが[0.400,0.448)、BABが[0.448,0.484)、BACが[0.484,0.508)、BADが[0.508,0.520)である。

[31]~[35]

[31]~[32] 易 7,9

数値0.8は区間(0.7,0.9]に含まれる。

[33]~[35] やや易 3,2,1

上より一文字目はC。CAは[0.7,0.78)CB[0.78,0.84)はCC[0.84,0.88)はCDは[0.88,0.90)である。0.8は[0.78,0.84)の範囲に含まれるためCB。

CBは幅が0.06であるから、CBAは[0.780,0.804)であり、これは0.8を含むから答えはCBAである。

情報III:パーセプトロン

[36]~[39]

[36]~[37] 易  -1

与えられた式に代入すれば良い。y=x1w1*x2w2+b=1*1+0*2+(-2)=-1

[38]~[39] 易 00

y=-1≦0なので、z=0である。

[40]~[43]

[40]~[43] 易 03,03

(x1,x2)=(1,0)とすると、y=w1-2となる。
0と1のXOR(=z)は1なので、w1-2>0であればよい。
したがってw1>2となる。選択肢の中でこれを満たすのはw1=3のみ。
(x1,x2)=(0,1)とすると、y=w2-2となる。
0と1のXORは1なので、w2-2>0であればよい。
したがってw2>2となる。選択肢の中でこれを満たすのはw2=3のみ。
(x1,x2)=(0,0),(1,1)のときも、条件を満たす。

[44]~[51]

本問では、出力から考えたほうが分かりやすいので先に[50]~[51]から扱う。

[50]~[51] やや難 03

w31に3以外を入れるとz3が常に0になり、XORになることはないから、w31は3である。

[44]~[49] 難 -1,03,-1  

全体通して一番の難問。

※NAND・NORはそれぞれANDの否定・ORの否定である。

今w31に3を入れたから、z1とz2の全ての組み合わせを代入してみると、z3がANDになっている事がわかる。XORをANDで表現する方法はXOR AND TRUEを除けばNAND AND NORしかないので、z1とz2のどちらかがNANDでどちらかがNORになると推測できる。

w22が正であるから、z2がNANDになることはない。よってz1がNANDでz2がNORである。

まずw11とw12を考える。z1がNANDであるから、w11とw12は共に-1である。

最後にw21を考える。z2がNORであるから、w21は3である。

情報IV:回転操作と三角関数

[52]~[55]

[52]~[53] 並 15

x軸に角θjをなして(図を見るとθj+1でないことが分かる)⊿sj進むから差分がcosθj・⊿sjで、始点のx座標がRxjだからcosθj・⊿sj+Rxj

[54]~[55] 並 16

y軸に角θjをなして(図を見るとθj+1でないことが分かる)⊿sj進むから差分がsinθj・⊿sjで、始点のy座標がRyjだからsinθj・⊿sj+Ryj

[56]~[59]

[56]~[59] やや易 23,24

Qと⊿sjが入った選択肢は使えないので外れて、あとは三角関数の定義を考えればすぐに選べる。

[60]~[63]

[60]~[63] やや難 29,30

回転方向を慎重に考えて、迷ったら値を代入しながらゴリ押せば良い。回転行列の話を思い出すと解きやすいかもしれない。

情報V:循環検出

(ア) [64]~[66]

[64] 並 4

(1)そんなことはない。

(2)そんなことはない。bにはf(a)かf(b)しか代入されず、1≦f(a)≦mである。また、これまで1≦b≦mが満たされているならば1≦f(b)≦mが満たされ続けるから帰納的に示せる。

(3)問題ない。5行目のa≠bが満たされないとき{a}は循環列である。

(4)循環列の外から循環列に入るとこういう事が起こる。e.g. 1→2→3→2→3→…

[65] 並 7

ループが始まっていることと過去に見た頂点を再び訪れることは同値なので、「b(今見ている頂点)がc(過去に見た頂点)に含まれている」を選べば良い。

[66] 並 2

今見ているbがaよりも小さかったらb以下の数がaを含む循環列の最小の値であるから、a>bが入る。

(イ) [67]~[72]

[67]~[68] 並 5

どちらもaから始まる代表循環列がないことを意味するから、そのaを破棄してa+1から続行(continue)すれば良い。

[69]~[70] やや難 2,5

dは出力済みの代表循環列に含まれていることを指すフラグであると推測できるから、フラグが立っていた場合にそのaを破棄してa+1から続行(continue)すれば良い。

[71] やや難 4

出力済みの代表循環列に含まれている i のフラグを立てる命令は出力済みの、あるいは今すぐ出力するcが保持されている行に挿入するべきだから12 or 13行目の後。

[72] やや難 1

フラグのリセットは一度しか行ってはいけないから3行目より前に挿入すれば良い。

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カテゴリー: その他

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